
お盆やお彼岸などで親族が集まると、「そろそろ遺品や相続のことを話さなければ」と、これまで先延ばしにしていた話題が出てくることがあります。
話題にしにくい内容ですが、誰かが言い出さなければならない内容で、気が重いこともあるかと思います。
初めて遺産分割に向き合うときは、何から決めればよいのか、誰に相談すればよいのか分からず、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
預貯金のように金額が分かりやすい財産だけであれば、話し合いを進めやすいのですが、高級時計や宝石、ブランドバッグ、骨とう品など、一つしかない遺品があると、話は複雑になります。
「これは誰が受け取るのか」「受け取る人と、受け取らない人の間でどう公平にするのか」。こうした問題は、どのご家族にも起こり得るものです。
一つしかない遺品は、なぜ話し合いが難しくなるのでしょうか
預貯金や金地金は、金額や重さをもとに比較的分けやすい財産ですが、時計やジュエリー、バッグなどは、基本的に一つしかありません。
品物そのものを複数人で分けることは難しいため、誰か一人が受け取るか、売却して現金にするかを考えなければなりません。
その際に大切になるのが、「その品に現在どの程度の価値があるのか」を知ることです。
たとえば、ある相続人が時計を受け取る場合、その時計の価値が分からなければ、ほかの相続人へいくら配慮すれば公平なのか判断できません。反対に、売却して現金で分ける場合も、まずは売却の目安となる価値を把握しておく必要があります。
思い出のある品ほど、「高く評価してほしい」「売らずに残したい」という気持ちが生まれるのは自然なことです。だからこそ、気持ちだけで決めるのではなく、客観的な価値を確認することが、公平で落ち着いた話し合いにつながります。
遺産の分け方には、いくつかの方法があります
遺産分割とは、亡くなった方の財産を相続人全員で、どのように分けるかを決めることです。分け方には、主に次のような方法があります。
- 現物分割
たとえば「自宅は配偶者、預貯金は子ども」というように、財産をそのまま分ける方法です。 - 代償分割
一人が時計や不動産などを受け取り、その代わりに、ほかの相続人へお金を渡して公平を図る方法です。 - 換価分割
時計や宝石などを売却し、現金にしてから相続人の皆さまで分ける方法です。 - 共有分割
一つの財産を複数人の共有名義にする方法です。ただし、将来の売却や管理の際に、あらためて全員の話し合いが必要になることもあります。
高級時計や宝石などの一点物については、誰かが受け取って代償金を支払う「代償分割」か、売却して現金を分ける「換価分割」が、現実的な選択肢になることが多いでしょう。
どちらの方法を選ぶ場合でも、まず必要になるのは、その品の評価額です。

実務上の考え方
相続人同士で実際にどの程度揉めていたのか、その後どのような遺産分割に至ったのかについては、当店は動産の評価を行う第三者という立場のため、詳細までは把握していないケースが多いです。
ただ、時計、宝石、ブランド品などの一点物は、預貯金のように人数で分けることができません。そのため、「誰が取得するのか」「取得する人と取得しない人との間で、どのように公平性を保つのか」を考えるうえで、まず客観的な評価額を明らかにする必要があります。
当店の評価書は、遺産分割の方法そのものを決めるものではありませんが、「この時計はいくらと考えるのか」「この宝石はいくらの財産として扱うのか」という共通の数字を相続人の皆さまに示す資料になります。
その評価額をもとに、一人が品物を取得してほかの相続人との間で金銭的な調整を行う代償分割や、売却して現金で分ける換価分割などを検討する際の判断材料として利用していただけると考えています。
気持ちを大切にしながら、数字を共通の土台にする
ご家族だけで遺品の価値を決めようとすると、「もっと価値があるはずだ」「そこまでの金額にはならないと思う」と、意見が分かれることがあります。
これは、誰かが間違っているというよりも、それぞれの思い出や認識、それぞれがインターネット上の情報などをもとに判断しているためです。
そのようなときに、第三者による評価書があると、全員が同じ数字をもとに話し合いやすくなります。
にじや相続評価では、現役の質屋として把握している実売相場に加え、必要に応じてX線分析や比重測定などのデータも用いながら、評価書を作成しています。
評価書は、思い出や気持ちに優劣をつけるためのものではなく、ご家族それぞれの気持ちを大切にしながらも、「公平に考えるための共通のものさし」として役立てていただくためのものです。

遺産分割がまとまらないまま、申告期限が近づいたときは
話し合いが長引くと、「相続税の申告期限に間に合わなかったらどうしよう」と心配になりますよね。
相続税の申告と納付の期限は、原則として、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内と決まっています。
未分割のまま申告する場合は、いったん法定相続分などに応じて取得したものとして申告することになります。また、その時点では配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用できない場合があります。
ただし、後日遺産分割が成立した際の手続きや、特例を適用するための要件など、個別に確認すべき点がありますので、申告が必要になりそうな場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
詳しくは、国税庁の「相続財産が分割されていないときの申告」もご確認ください。
思い出のある品と公平な分割について
「故人が大切にしていた時計なので売らずに残したい」「形見として自分が受け取りたい」という気持ちと、「相続人全員で公平に分けたい」という考えが両立しにくいことは十分に考えられます。
こうした場合、思い出の価値そのものを金額に置き換えることはできません。一方で、その品物が現在の市場でどの程度の経済的価値を持つのかについては、第三者として客観的な評価額を示すことができます。
たとえば、一人の相続人が思い出のある時計を手元に残す場合でも、その時計の評価額が分かれば、「時計を残すか、売却するか」という二者択一ではなく、時計を取得する人と、ほかの財産を取得する人との間で公平性を考えるための材料になります。
評価書の役割は、ご家族の気持ちに値段をつけることではありません。感情的な価値と市場での経済的な価値を分けたうえで、相続人全員が同じ数字を見ながら話し合える「共通のものさし」を作ることに意味があると考えています。
話し合いが進まないときは、専門家への相談も選択肢です
品物の価値を知ることは、遺産分割の話し合いを進めるための大切な準備ですが、評価書だけで分割方法が決まるわけではなく、最終的には相続人全員で話し合って決めることになります。
相続登記などの手続きについては司法書士、相続税の申告については税理士、相続人同士で意見がまとまらない場合や法的な整理が必要な場合は弁護士への相談が想定されます。
どうしても話し合いで解決できないときには、家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てる方法もあります。手続きの概要は、裁判所の「遺産分割調停」で確認できます。
にじや相続評価は全国対応で、郵送でのお手続きも可能です。

高級時計、宝石、ブランド品、貴金属など、分け方に悩む遺品がある場合は、まず現在の価値を確認するところから始めてみませんか?
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投稿者プロフィール

- 鑑定歴27年の代表鑑定士
-
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 創業者&代表取締役
【保有資格】
第1級陸上無線技術士
電気主任技術者
電気通信主任技術者
「真空管と質屋をこよなく愛する青梅人」で、質屋初代で質蔵を2つも建てたことがあり、電気系に強く自分で特許出願ができるという特技を持つ。
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内大手特許事務所にて特許出願を担当
1998年 個人事業主として創業し、真空管の輸入販売を開始
2000年 法人成りにより合資会社ささきに組織変更 資本金110万円
2012年 資本金1000万円に増資
2013年 株式会社クリエイティブファクトリーに組織変更
2014年 総合買取 にじや実店舗オープン
2022年 青梅街道 野上交差点そばに「にじや質店」をオープン
【好きな仕事】
ブランド品・貴金属・時計等の真贋鑑定、質屋、古物商、真空管の輸入販売、音響コンサルティング
【運営サイト】
質屋の「にじや質店」 https://nijiya-7ten.jp
「にじや質店X線ラボ」 https://nijiya-xray.jp
「にじや相続評価」 https://nijiya-souzoku.jp
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