亡くなられた方が金インゴットや地金を保有されていた場合、ご遺族の方は相続税の申告や遺産分割協議で、その評価額をどのように算定すればよいか、迷われることがあります。
金相場が高騰している現在、1キログラムの金インゴット1本で2,000万円を超える評価額になることがあり、金資産の評価精度は、相続税額や相続人どうしの合意に大きな影響を与えます。
本記事では、金インゴット・地金の相続評価のルールと、確実な評価のための依頼方法について、わかりやすくご紹介いたします。

国税庁の評価ルール|財産評価基本通達における動産評価
金インゴットや地金の相続税評価の方法は、国税庁の「財産評価基本通達」に基づきます。同通達には「金」や「金地金」というそのものの項目はなく、「一般の動産」として評価することが原則とされています。
一般動産の評価は「売買実例価額」または「精通者意見価格等」を参酌して評価すると定められていて、金資産については田中貴金属工業や三菱マテリアルといった金販売業者が公表している買取価格が、売買実例価額として活用されます。
参考:国税庁 財産評価基本通達
実務上は、相続開始日(亡くなられた日)における金販売業者の公表買取価格(1グラムあたり)に、相続された金資産の重量を掛けて評価額を算定する方法が用いられるのが一般的です。たとえば1キログラムの金地金で、相続開始日の買取価格が1グラムあたり2万3,000円であれば、評価額は2,300万円となります。

評価額の計算式と金記念硬貨の取り扱い
金の記念硬貨や金貨も、同じ考え方で評価されます。国内で発行される記念金貨、カナダのメイプルリーフ金貨やオーストリアのウィーン金貨などの投資用金貨もすべて課税の対象となります。
ただし、希少さのあるアンティーク金貨の場合、地金としての価値と骨董としての価値が大きく異なることがあり、両方を区別した評価が必要になります。
金インゴットの相続で見落とされがちなリスクが、偽造インゴットへの対応です。近年、見た目はインゴットそのもので、刻印も精密に打たれた模倣品が、国内外で確認されています。
タングステン(金とほぼ同じ比重を持つ金属)を芯材にして、表面だけ金メッキでおおった偽造インゴットでは、重さと外見だけでは本物との区別がつきません。相続発生時に模倣品を本物として評価してしまうと、相続人どうしで大きなトラブルになるばかりか、相続税申告でも問題が生じます。
偽造インゴットのリスクと多重チェック体制
にじや相続評価では、金インゴット・地金の相続評価において、X線分析装置による表面成分の確認と、超音波検査による内部構造の確認を組み合わせた、多重チェック体制を採用しています。これによって、刻印やシリアル番号だけに頼らない、科学的な根拠に基づく真贋判定が可能になっています。
評価書には、相続開始日における時価評価額に加えて、分析結果のまとめ、対象品物の写真、品物ごとの情報(重量、刻印、シリアル番号)を記載します。税理士の先生が相続税申告書に添付する根拠資料として、また弁護士の先生が遺産分割協議で活用される客観資料として、複数の士業の方にご利用いただいております。

鑑定士Q&A|相続評価の現場から
Q1. 相続評価で「本物」と信じられていたインゴットが、実は模倣品だった事例はありますか?
現時点で、超音波検査によって内部がタングステンであると確認された事例はございません。
しかし、金価格の高騰に伴い、国内外でタングステンを芯材とした模倣インゴットが確認されていることから、相続評価においても「本物と思い込まない」ことが重要だと考えております。
相続では、故人が大切に保管されていた品物ほど、ご遺族も「本物に違いない」とお考えになりがちです。
実際にあった例では、相続の場面で10kgの金インゴットが出てまいり、ご親族の間で大騒ぎになりましたが、にじや相続評価で確認した結果、金ではなく真鍮製の模倣品であり、地金としての評価額はゼロ、というケースがございました。
だからこそ、思い込みや、刻印・購入時の書類だけに頼るのではなく、科学的な確認を行うことが大切です。
当店では、X線分析で表面の金属組成を確認し、さらに超音波検査や導電率検査で内部構造を確認いたします。
一つの検査結果だけで判断するのではなく、複数の検査結果を総合的に評価することが、相続財産を適正に評価するうえで重要だと考えております。
Q2. 評価書を作成する際に、にじや相続評価では必ず記録すると決めている情報はありますか?
評価書では、後から第三者がご覧になっても同じ内容を確認できるよう、客観的な記録を重視しております。
具体的には、以下の項目を記録いたします。
- 品物全体の写真
- 刻印の拡大写真
- シリアル番号
- 重量
- X線分析結果
- 超音波検査結果
- 導電率検査結果
- 評価額算定の根拠
- 相続開始日時点の評価単価
また、評価額だけでなく「どのような確認を行い、その結果どのように判断したのか」という確認過程も、できるかぎり分かりやすく記載するよう心掛けております。
相続では、税理士の先生、弁護士の先生、相続人の方など複数の方が同じ評価書をご覧になります。
そのため、「評価額だけが書かれた資料」ではなく、後から誰がご覧になっても説明しやすく、確認しやすい資料であることを重視しております。

評価書の内容・料金体系と純金積立の評価
複数本の金インゴットや、記念硬貨と地金が混在するケースでも、まとめてのお預かりと評価が可能です。料金は着手金11,000円(税込)・1点あたり、評価加算料は評価額の1パーセントという体系を採用しております。
金価格の高騰に伴い、見た目や刻印だけでは判別しにくい模倣インゴットへの注意も必要です。表面の刻印が正規の精錬所に似せた偽造刻印、内部の素材が異なるという巧妙な手口も報告されており、表面のX線分析だけでは見つけられない場合もあります。
このため、にじや相続評価ではX線分析に加えて超音波検査や導電率検査も実施し、表面と内部の両方を確認する体制を整えております。
超音波検査では、金属の内部を伝わる音の速さの違いから、タングステンを芯材とした模倣品の存在を非破壊で確認することができます。
また、導電率検査は、内部に渦電流を発生させて導電率を測定することで、タングステン模倣品を非破壊で確認することができます。複数の検査を組み合わせることで、模倣品のリスクを大きく下げることができます。
なお、にじや相続評価は現物資産のみが対象となり、純金積立や金ETFは対象外となります。
相続が発生したときの金地金の評価でお困りの方、相続税の申告に向けて準備を進めていらっしゃる方は、にじや相続評価の公式サイトをご覧ください。専用申込みフォームから手続きが可能で、ご質問はLINEでも承っております。
投稿者プロフィール

- 鑑定歴27年の代表鑑定士
-
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 創業者&代表取締役
【保有資格】
第1級陸上無線技術士
電気主任技術者
電気通信主任技術者
「真空管と質屋をこよなく愛する青梅人」で、質屋初代で質蔵を2つも建てたことがあり、電気系に強く自分で特許出願ができるという特技を持つ。
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内大手特許事務所にて特許出願を担当
1998年 個人事業主として創業し、真空管の輸入販売を開始
2000年 法人成りにより合資会社ささきに組織変更 資本金110万円
2012年 資本金1000万円に増資
2013年 株式会社クリエイティブファクトリーに組織変更
2014年 総合買取 にじや実店舗オープン
2022年 青梅街道 野上交差点そばに「にじや質店」をオープン
【好きな仕事】
ブランド品・貴金属・時計等の真贋鑑定、質屋、古物商、真空管の輸入販売、音響コンサルティング
【運営サイト】
質屋の「にじや質店」 https://nijiya-7ten.jp
「にじや質店X線ラボ」 https://nijiya-xray.jp
「にじや相続評価」 https://nijiya-souzoku.jp
真空管専門店の「ヴィンテージサウンド」 https://vintagesound.jp.jp
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