先に売ってしまった指輪、実はもっと価値があったのではないか?

遺産分割の話し合いの場で、このような声が上がることがあります。

金やジュエリーは、高級時計以上に「普段から身につけるもの」として扱われやすい財産です。

そのため、依頼者様ご自身が「これは古い指輪だから」「使う予定のないネックレスだから」と考え、相続財産としての価値を十分に確認しないまま、買取店へ持ち込んでしまうケースも少なくありません。

結論からお伝えすると、遺品の中から貴金属やジュエリーが見つかった場合は、売却する前に評価を済ませておくことが大切になります。

先に売ってしまった、あるケース

昨年、ある先生からご紹介いただいた相続人の方より、貴金属の評価についてご相談をいただきました。

お母様が大切にされていた金のネックレスと指輪が遺品の中から見つかり、姉妹で分ける前に、まずはそれぞれの価値を知っておきたいというご相談でした。

ところが、お話をうかがう中で、指輪のほうは、すでに近所の買取店へ持ち込み、売却されていたことが分かりました。

その後、残っていたネックレスの評価額をお伝えしたところ、他の相続人の方から、

「先に売ってしまった指輪も、思っていたより価値があるものだったのではないか」

という声が上がり、遺産分割の話し合いが一時止まってしまいました。

たとえ売却済みであっても、その指輪は、亡くなられた時点では相続財産の一部です。

相続税の対象となる財産は、原則として、財産を取得した時点、通常は被相続人が亡くなった時点の価額で評価します。
売却した日や、代金を受け取った日の価格で決まるわけではありません。

また、遺産分割を進めるうえでも、先に売却した指輪やその売却代金をどのように扱うのかについて、相続人同士で整理する必要があります。

今回のケースでは、売却した指輪がすでに溶解・加工の工程に入っていたため、実物を確認し、当時の状態を詳しく調べることができませんでした。

ご相続人の方は、「先に評価をお願いしておけばよかった」と悔やんでいらっしゃいました。

この経験から私は、「貴金属が見つかったら、売却する前に評価を済ませる」ということを、依頼者様の一番近くにいらっしゃる先生方からお伝えいただくことが、とても大切だと感じています。

実は、こうした「先に売ってしまってからのご相談」は、一度きりの珍しい出来事ではありません。

査定を担当していますと、遺品整理の際に金相場が高いうちにと考えられたご家族が、複数の金製品をまとめて買取店へお持ちになり、売却された後にご相談をいただくことが、これまでにも何度かありました。

このようなご相談で難しさを感じるのが、実物がすでに残っていないという点です。

お手元に写真や買取伝票が残っていても、そこから分かるのは刻印や重量までで、ブランド、宝石の品質、加工の状態、修理された跡といった、評価に欠かせない情報までは読み取れないことがほとんどです。

そのため私は、ご相談の際に「売却はいつでもできますが、売却前の状態を確認できるのは一度だけです。」とお伝えするようにしています。

相続の手続きには期限があります

貴金属そのものに特別な申告期限が設けられているわけではありません。

ただし、相続の手続き全体には、いくつかの重要な期限があります。

まず、相続人は、原則として、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、相続を承認するか、限定承認または相続放棄をするかを判断します。

この3か月は「熟慮期間」と呼ばれています。

また、相続税の申告と納税が必要な場合は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に手続きを行う必要があります。

10か月と聞くと長く感じるかもしれませんが、相続財産の種類や相続人の人数によっては、決して余裕があるとはいえません。

だからこそ、貴金属やジュエリーが見つかった場合も、後回しにせず、早い段階で価値を確認しておくことが大切になってきます。

評価額が分からないまま時間が過ぎると、遺産分割の話し合いを進めにくくなります。

冒頭の事例のように、価値を確認しないまま売却を急いでしまうと、かえって確認事項が増え、手続き全体が進みにくくなることがあります。

貴金属はどのように評価するのか

貴金属やジュエリーは、相続税の計算上、一般的には「一般動産」として評価されます。

国税庁の財産評価基本通達では、一般動産の価額は、原則として、実際の売買事例や、その品物に詳しい専門家の意見価格などを参考にして評価するとされています。

(出典:国税庁 財産評価基本通達 第1節 一般動産)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/06/01.htm

つまり、土地の路線価のように、決められた表へ当てはめれば一律に金額が出るものではありません。

同じ金の指輪であっても、

  • 金の純度や重量
  • 宝石の有無や品質
  • ブランド
  • デザイン
  • 保存状態
  • 市場での取引状況

などによって、価値の考え方が変わります。

そのため、相続開始時点でその品物にどの程度の価値があったのかを、実物や関連資料をもとに、一つずつ確認していくことになります。

ご相談で特に多い、2つの勘違い

貴金属やジュエリーのご相談をお受けしていますと、依頼者様が同じような点で戸惑われていることに気づきます。

査定を担当する立場から、特にご相談の多い2つの勘違いをご紹介します。

1.金の重さだけで価値が決まると思っている

最も多いのが、金の重量さえ分かれば価値が決まる、というお考えです。

もちろん重さは大切な要素ですが、実際には、ブランド、宝石の品質、デザイン、製造したメーカー、保存の状態などによっても評価は変わってきます。

同じ重量で同じ品位であっても、評価額が異なることは珍しくありません。

だからこそ、重さだけを見て早い段階で売却を決めてしまうのは、少しもったいないと感じています。

2.査定額と相続評価額は同じだと思っている

次に多いのが、買取店の査定額と、相続のための評価額は同じものだ、というお考えです。

買取査定は「いくらで買い取るか」を示すものですが、相続評価では「評価の時点でどの程度の価値があったか」を確認することが目的になります。

目的も考え方も異なりますので、査定額がそのまま相続の評価額になるわけではない、という点を、依頼者様へお伝えいただければと思います。

依頼者様への案内で押さえておきたい3つのこと

1.評価前に売却・加工をしない

貴金属は、その日の金相場をインターネットで調べやすく、比較的すぐに現金化できる財産です。

そのため、遺品の中から見つけた後、そのまま買取店へ持ち込んでしまう依頼者様もいらっしゃいます。

しかし、買取店で提示された金額と、相続開始時点における評価額は、必ずしも同じではありません。

また、一度売却され、溶解や加工が行われると、元の品物の状態を後から確認することが難しくなります。

地金として溶かされてしまえば、元のデザインやブランドを確認できなくなり、その品物が持っていた価値を後から判断することが難しくなってしまいますので、評価が終わるまでは、売却や加工を待っていただくようお伝えください。

なお、相続放棄を検討している場合には、相続財産の売却や処分が手続きに影響する可能性もあるため、自己判断での売却は避けていただきたいです。

2.貴金属の評価は専門家へ相談する

一方で、貴金属やジュエリーそのものの価値を調べるには、金属の純度や重量だけでなく、宝石、ブランド、市場での取引価格などについての専門的な知識が必要です。

そのため、必要に応じて、貴金属やジュエリーを扱う専門の評価機関へ相談することが一般的です。

にじや相続評価では、税理士・弁護士の先生方からご相談いただく方法だけでなく、相続人の方ご自身から直接ご依頼いただくことも可能です。

当店が査定書ではなく「評価書」としてお渡ししているのも、単に売却価格をお知らせするためではなく、相続税の申告や遺産分割の際の資料としてご活用いただくためです。

3.一人だけで抱え込まない

貴金属やジュエリーは、小さく持ち運びやすいため、他の相続人が存在を知らないまま話が進んでしまうことがあります。

ただし、相続財産である以上、他の相続人へ知らせないまま持ち帰ったり、処分したりすると、後からトラブルになってしまうことがあります。

貴金属やジュエリーが見つかった時点で、まずは他の相続人にも情報を共有し、評価が終わるまでは現在の状態で保管するよう、依頼者様へお伝えいただくことをおすすめします。

「早めに評価を」と、先生方からひと言お伝えください

貴金属やジュエリーの価値は、重さや純度だけで決まるものではありません。

だからこそ、慌てて売却する前に、まずは専門機関への相談をご検討いただきたいと考えています。

にじや相続評価では、現役の質屋として日々の実売相場を確認している経験を活かし、市場での取引実態を踏まえた評価を行っています。

冒頭でご紹介したケースのように、「先に評価しておけばよかった」という事態を防げるかどうかは、依頼者様に最も近い先生方からの、最初のひと言にかかっていることがあります。

遺品の中から金やジュエリーが見つかったと聞かれた際には、「売る前に、一度評価を受けておきましょう」とお伝えいただければと思います。

ご依頼は専用フォームから承っており、税理士・弁護士の先生方からのご相談はもちろん、依頼者様ご本人からの直接のご依頼にも対応しております。

対象となる貴金属を郵送いただき、分析と評価を行った後、評価書をお返しいたします。

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  にじや質店(東京都青梅市野上町)
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投稿者プロフィール

代表鑑定士 佐々木 英明
代表鑑定士 佐々木 英明鑑定歴27年の代表鑑定士
東京都青梅市在住

株式会社クリエイティブファクトリー 創業者&代表取締役

【保有資格】
第1級陸上無線技術士
電気主任技術者
電気通信主任技術者

「真空管と質屋をこよなく愛する青梅人」で、質屋初代で質蔵を2つも建てたことがあり、電気系に強く自分で特許出願ができるという特技を持つ。

1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内大手特許事務所にて特許出願を担当
1998年 個人事業主として創業し、真空管の輸入販売を開始
2000年 法人成りにより合資会社ささきに組織変更 資本金110万円
2012年 資本金1000万円に増資
2013年 株式会社クリエイティブファクトリーに組織変更
2014年 総合買取 にじや実店舗オープン
2022年 青梅街道 野上交差点そばに「にじや質店」をオープン

【好きな仕事】
ブランド品・貴金属・時計等の真贋鑑定、質屋、古物商、真空管の輸入販売、音響コンサルティング

【運営サイト】
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